Vitamin C for preventing and treating tetanus.

Hemilä H, Koivula T.

Cochrane Database Syst Rev. 2013 Nov 13;(11):CD006665.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24226506

http://www.mv.helsinki.fi/home/hemila/CT/2013_Coch_Tetanus_CD006665.pdf


More papers on Vitamin C:

https://www.mv.helsinki.fi/home/hemila





Cochrane Database of Systematic Reviews

アブストラクト

Cochrane Systematic Review - Intervention Version published: 13 November 2013

https://doi.org/10.1002/14651858.CD006665.pub3





アブストラクト

背景

破傷風は重度の疾患であるが、ワクチン接種で予防できる。開発途上国では、ワクチンの接種率が必ずしも高くない。先進国でも、特に免疫防御が弱まる高齢者に依然として発症が認められる。破傷風の症例数は、世界で年間約100万例である。動物実験では、さまざまな感染症および細菌性毒素に対して、ビタミンCの予防効果が認められている。ラットを用いたある試験では、精製された破傷風毒素に対して、ビタミンCに予防効果があることが示された。

目的

破傷風の予防および治療に対するビタミンCの効果を評価すること。

検索戦略

今回で3回目となる更新では、20135月にCochrane Wounds Group Specialised RegisterThe Cochrane Central Register of Controlled TrialsCENTRAL)(コクラン・ライブラリ);Ovid MEDLINEOvid MEDLINEIn‐Process & Other Non‐Indexed Citations)およびOvid EMBASEを検索した。

選択基準

破傷風の予防または治療としてのビタミンCの比較試験とした。プラセボ対照群の有無、言語、さらに発表、未発表は問わなかった。2名のレビュー著者が独立して採用を決定した。

データ収集と分析

両レビュー著者は独立して試験報告からデータを抽出し、方法論的な質を評価した。2 × 2分割表のセルのうち1つのセルが件数ゼロであったため、Peto法を用いて致死率のオッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)を算出した。もうひとつの2 × 2分割表のセルはすべてのセルで件数が得られていたため、逆分散法を使ってリスク比(RR)推定値および95CIを算出した。件数ゼロのセルがある2 × 2 分割表のORの正確な95CI算出には、さらにフィッシャーの正確確率検定を行った。

主な結果

わずか1件の試験が組み入れ基準に適合した。バングラデシュで実施された非ランダム化非盲検比較試験で、117例を対象としていた。従来の治療と併用して、1g/日のビタミンCが静脈内投与された。募集時に、参加者は2つの年齢グループに層別化され、結果は年齢別に報告された。ビタミンCの効果に、この2つの年齢グループ間で有意差が認められた(P = 0.01)。年齢が112歳の破傷風患者(n=62)では、ビタミンCの投与によって致死率が100%低下した(95CI ‐100%~‐94%)。年齢が1330歳の破傷風患者(n=55)では、ビタミンCの投与によって致死率が45%低下した(95CI ‐69%~‐5%)。

著者の結論

破傷風の治療としてビタミンCを投与したところ、死亡率が大幅に低下したことが、報告が不十分な1件の非ランダム化試験によって示唆された。しかし、試験の質に懸念が残るため、結果は慎重に解釈する必要がある。さらに、このエビデンスをもとにビタミンCを破傷風の治療法として推奨することはできない。破傷風の治療に対するビタミンCの効果を検討するために、新たな試験を実施する必要がある。





一般語訳


破傷風の予防および治療に対するビタミンC

破傷風は、破傷風菌が産生する破傷風毒素によって引き起こされる。 破傷風菌は、通常、土などの異物によって汚染された穿通創に感染する。開発途上国では、出産後の不衛生が新生児の破傷風の原因になることもある。ワクチンによって破傷風の問題は大幅に軽減されたものの、依然として、世界で年間100万症例の破傷風が発生する。11gのビタミンCの静脈内投与が、破傷風患者の治療に有用であるかどうかを検討した比較試験1件を採用した。ビタミンCは、破傷風の標準治療とともに用いられた。ビタミンCの静脈内投与によって、破傷風に感染した112歳の小児の死亡率が100%低下し、1330歳の患者の死亡率が45%低下した。試験が適切に実施されていなかったため、試験結果は慎重に解釈する必要がある。この1件の試験をもとに、ビタミンCを破傷風の治療法として推奨することはできない。破傷風治療に果たすビタミンCの役割を見きわめるために、新たな試験を実施する必要がある。